植害試験(植物に対する害に関する栽培試験)

1. 植害試験

目的 肥料に含まれる重金属等の有害性を植物の生育状況を観察することにより判断することです。
  植害試験が必要とされるのは、肥料取締法により規定されている普通肥料を登録する際です(表1)。また、都道府県によっては特殊肥料の場合でも、届出の際に植害試験が必要な場合があります。   

表1 登録にあたって試験が義務付けられている普通肥料
副産窒素肥料 乾燥菌体肥料 熔成汚泥灰複合肥料
液体副産窒素肥料 吸着複合肥料 熔成汚泥灰けい酸りん肥
副産りん酸肥料 副産複合肥料 副産マンガン肥料
汚泥肥料等(下水汚泥肥料、し尿汚泥肥料、工業汚泥肥料、混合汚泥肥料、焼成汚泥肥料、汚泥発酵肥料、水産副産物発酵肥料、硫黄及びその化合物)

試験方法 「肥料取締法の一部改正に伴う今後の肥料取締について(昭和59年4月18日付け59農蚕第1943号 農林水産省農蚕園芸局長通達)」の別添1に定められた方法です。
 具体的には、
 ・対照肥料には供試肥料と原料・生産工程・保証成分等が類似している肥料を用いる
 ・供試肥料、対照肥料共に「標準量施用区」、「2倍量施用区」、「3倍量施用区」、「4倍量施用区」を設定する(図1
 
   図1 各区の肥料添加量(窒素全量を基準とした場合)
・は種10日を目安に発芽試験を行う(冬期は生育に時間がかかる)
・は種21日を目安に生育試験を行う(冬期は生育に時間がかかる)
・生育試験では、葉の長径、短径、重量を測定する

は種

発芽試験

生育管理

生育調査

2. 簡易植害試験

目的 肥料登録以外の自主的品質管理などの目的で植害試験を行う場合、これを参考にした方法で試験を行ないます。
試験方法 植害試験を簡易にした試験方法で、対照肥料を用いません。

普通肥料(汚泥肥料等)と特殊肥料(動物の排せつ物)のどちらを選ぶべきか

 肥料とは、植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物、及び植物の栄養に供することを目的として植物に施されるものです。


 普通肥料のうち汚泥肥料等は保証成分量が公定規格で定められていません。なぜなら、これらの肥料が以前は特殊肥料として指定されていたように、原料の汚泥の性質から銘柄ごとの主要な成分が著しく異なるためで、「保証成分量」ではなく「主要な成分の含有量」を保証票に記載することが規定されています。この「主要な成分の含有量」とは、「保証成分量」のように含有成分量の最低保証値を示すものではなく、その銘柄の平均的な含有量です。有害成分を含有するおそれがあるため規制があり、植害試験が義務付けられています。肥料の種類として、下水汚泥肥料、し尿汚泥肥料、工業汚泥肥料、混合汚泥肥料、焼成汚泥肥料、汚泥発酵肥料、水産副産物発酵肥料、硫黄及びその化合物があります。大臣登録が必要で登録有効期間が3年です。

 特殊肥料とは、魚かすや米ぬかのような、農家の経験や五感によって品質を識別できる単純な肥料や、土壌改良効果も合わせて有する、その価値や施用量が必ずしも主成分の含有量のみに依存しない肥料で大臣の指定したものをいいます。このなかで、「動物の排せつ物」は「主要な成分含有量」を「品質表示」します。汚泥肥料と同様に、その成分が銘柄ごとに著しく異なることから、含有される成分量を保証する「保証値」ではなく、実際に含有されている量を「品質表示」しているのです。生産には知事への届出が必要です。凝集促進剤または悪臭防止剤を加え、脱水または乾燥したものは、普通肥料のし尿汚泥肥料に分類されます。

 普通肥料のうち汚泥肥料等も特殊肥料(動物の排せつ物)も共に銘柄によるばらつきがあるため、保証票もしくは品質表示に記載されている成分が、目的とする土地の必要とする量に合致しているか確認をし、不足する場合は他の肥料による追加での施肥を行う必要があります。肥料の定義から、「植物の持つ生理的機能を高め、それによって植物が生育する」だけでは肥料とはよべませんが、特殊肥料の場合、根張りがよくなるなどの土壌改良効果を併せ持つ肥料も多く、施用するときには成分のみの評価では比較できない場合も多くみられます。栽培試験により、選定すべきです。